刀剣評価鑑定士
深海 信彦
名を惜しむ武士の精神
若かりし頃、親友に刀屋になると話すと「正業に就けよ。」と親身になって忠告されたことがある。私が刀屋を志した当時は、これほどまでに刀剣と刀剣を扱う人への一般の認識は低かった。
このような状況に、まだ若かった私は強い憤りを覚え、自らを奮い立たせたのをよく覚えている。
あれから随分と時間が経ったが、この間、当店の社員やこれから刀剣商を志す若者に同じような思いをさせたくない。そう考えて今日まで信頼を何よりも重視して銀座長州屋を経営してきた。
信頼を得るまでの道程は長く険しいが、信頼を失うのは一瞬である。人から信頼を得るためには、襟を正し、刀剣商としての知識と鑑識眼を高め、社会の一員として相応の責任を果たしていかなくてはならない。
刀屋として成功するためには、審美眼・鑑定眼・相場感そして資金力に加えて人間性が必要といわれる。
しかし、私はあえて、成功の要件にもう一つ付け加えたいと思う。
それは刀剣商としての自覚である。個々の刀剣商が行う行為は各個人だけの問題ではなく、刀剣商全体の評価につながり、次の世代に引き継がれていく。
人を欺けば因果は応報し、常識に外れたことをすれば、いずれその評価は我々の身に別の形で返ってくることになる。
目先の損得だけに拘泥することなく「自らの名を惜しむ」武士の精神を鏡としたい。
刀剣商の自覚を育むという意味で刀剣評価鑑定士制度の普及は重要な意味を持っている。
その提唱者であるという自覚を胸に日々の業務に身を投じたい。
刀剣評価鑑定士
刀剣鑑定士とは?
「刀剣評価鑑定士」とは、刀剣商として必要かつ十分な能力を認定するとともに、本事業を通して組合員・賛助会員ならびに当組合の社会的信頼と地位の向上を図り、もって刀剣の普及と発展に寄与することを目的とした資格認定制度である。
当店の社長、深海が全国刀剣商業協同組合の理事長を務めた折に企画立案し、令和元年に第一回認定試験が実施された。
信頼の証 刀剣評価鑑定士に相談を!
日本刀の売却は刀剣評価鑑定士の資格を持つ刀剣商に相談してほしい。
刀剣評価鑑定士の資格を持つ刀剣商であれば、日本刀について必要な知識を備えている。そのため、不用品買い取り業者のように訳も分からず日本刀を安く買いたたくようなことはないであろう。
加えて、刀剣商として自覚と良心を持つ相手であれば申し分ない。
刀のことは判らずとも、相手の人間性は一定の人生経験をお持ちであれば、判断できると思う。
できれば直接店舗に足を運び、相手の人となりを見極める手間を面倒がらずに行ってほしい。失敗しない究極の日本刀売却方法とは相手の人となりを見極めることである。
銀座に店舗を構えて34年
銀座長州屋ビル
世界的建築家 毛綱毅曠設計
当時、安藤忠雄・黒川紀章等と並び賞された世界的建築家、毛綱毅曠設計の銀座長州屋ビル。ビル全体がジュエリーボックス、あるいはビル全体を金庫のようにというコンセプトの下で設計・施工された。
今でも多摩美大の学生が勉強のために訪れる。
世界中から目の肥えた顧客が集う銀座。華やかな日本一の繁華街と謳われる銀座は「生き馬の目を抜く」と言われる厳しさを内包する街でもある。この場所で銀座長州屋は30余年たゆまず精進を重ねてきた。
1998年10月には、建築家毛綱毅曠設計の銀座長州屋ビル社屋が完成し、有楽町駅前から銀座三丁目の自社ビル店舗に移転した。昭和通りに面した一面ガラス張りの店には、名品が多数展示されている。一階から最上階は螺旋階段で結ばれ、各階には日本刀を始めとした武家美術品が所狭しと展示されている。
地下鉄各線銀座駅出口からいずれも凡そ5分以内というアクセスにも恵まれている。
銀座長州屋ビル 店舗
毛綱毅曠
銀座長州屋ビルをデザインした世界的建築家。北海道釧路市生れ。神戸大学建築学科卒。1972年に母親の住宅〈反住器〉を発表。正方形のガラスやコンクリートを入れ子状に配置した特異なデザインにより,反モダニズムの建築家として注目される。1976年毛綱毅曠建築事務所設立。以後釧路を舞台に〈釧路市湿原展望資料館〉(1984年),〈釧路フィッシャーマンズ・ワーフ〉(1989年)などを設計。
当社の深海より設計を依頼されて快諾「ビル全体が宝石箱」、一つ付け加えるなら、「各フロアーは金庫室」というコンセプトの下に銀座長州屋ビルを設計されたという。
生前、銀座長州屋に度々来訪され、愛弟子達に建築デザインについて説明をなさっていた。お酒がお好きで、人間味あふれる魅力的な人柄を偲びたい。
自作年譜に
「この人、言淫なれど、その行清なり。」と自らを評す。
辞世の句は
「うまい酒、ふっくらぽぽに、宇宙建築」
写真は『日本の建築家 7』 丸善株式会社発行より転載
34年の刊行歴
日本刀総合情報誌
月刊『銀座情報』
日本刀通信販売誌の金字塔
1987年創刊。以来昭和、平成、令和の三時代に亘って刊行し続けてきた日本刀専門誌。日本全国の購読者に向けて日本刀や刀装具などの商品情報を毎月発信している。
『銀座情報』の購読者からは日本刀の注文や問い合わせが多く寄せられる。この要望に応えるために日本刀の買入れは社の命運を左右する重要な意味を持っている。
月刊誌に掲載する作品を数カ月先に亘って確保し、同時に広い社屋内に隈なく名品を展示し、来店者を満足させなければならない。
再生産が効かない美術品であるが故にお買受けの機会を逃してはならない。
何処よりも貪欲に名品を求める理由です。
銀座長州屋
USオープン優勝
笹生 優花選手
名刀の切れ味 全米で輝く
2019年2月~2024年2月まで銀座長州屋がスポンサーをつとめた笹生優花選手は弱冠19歳の若さでUSオープン優勝の偉業を成し遂げました。
日本ゴルフ界の実力は決して海外に劣るものではなく、世界で活躍するために必要なサポート体制を充実させれば、野球やテニス、サッカーなどと同じように世界に充分通用する人材を輩出することができると笹生選手は考え、ジュニアゴルファーの育成プロジェクトを立ち上げました。
ジュニア時代から様々な困難を乗り越えてきた笹生選手だからこそ気づく問題点があるのでしょう。
ご自身の成功はもちろん、ジュニア世代の育成にも高い理想をを掲げる笹生選手の姿勢には強い感銘を覚えます。
何よりも、名刀の切れ味に例えられる彼女の切れのある一振に全米が驚愕したのは痛快でした。あまりにも有名になりましたので、スポンサーは大手企業にお任せすることになりましたが、今後の活躍を祈っております。
匠の技を惜しみなく注ぎ込む
銀座長州屋品質
信頼の証
日本刀の美しさは刀鍛冶の技量だけで決まるものではない。どんなに優れた名刀でも、錆びてしまえばその美しさは失われてしまう。
美しい女性であっても、お肌の手入れや化粧、髪形や衣装への気配りを怠れば、その魅力が半減してしまうのと同じである。
銀座長州屋はお客様の要望に最高のクオリティーで応えることで信頼を得てきた。
刀本来の美しさを最大限引き出し、顧客に真の日本刀芸術のすばらしさを届けなくてはならない。
現代の匠、それも無鑑査、日本の名匠に認定された最高の技術を持つ刀職者達がいる。
彼らの力を借りることで、刀に新たな命が注ぎ込まれる。
研師:繊細な地鉄の輝き、見るものを感嘆
させる刃文の変化を引き出す。
ハバキ師:刀の区を保護し、刀に彩りを添える。
鞘師:刀を収める白鞘を製作する。
柄巻師:柄下地を作り、柄糸を巻く。
塗師:漆塗や蒔絵を施す。
いずれの技術も千年に亘り日本刀と共に受け継がれてきた尊い技術である。
銀座長州屋が提供する日本刀は、短いもので数か月、長いものでは一年余の工作期間を、この現代の匠達の元で過ごした後に初めて顧客の目に触れるのである。
銀座長州屋の日本刀には脈々と引き継がれた伝統技術の粋が惜しみなく注がれている。